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今年の直播実演あれこれ
【青森県 平成20年9月】
 今年の青森県での直播実演は、湛水直播4ヵ所、V溝直播3ヵ所計7ヵ所で行いました。

1、湛水直播その1:直播転じて疎植栽培
  担当農家のAさんは湛水直播2年目ですが、去年の場合はカモ被害等で苗立ちが悪く、直播の疎植栽培をしたような感じになりました。しかし、予想以上に収量(8俵半)が上がったことから、今年こそはと再度挑戦したわけです。

写真1 浅水状態で播種
 播種は5月10日。浅水状態で播種し、播種後は落水管理としました。ところが今年は播種直後から10日間も低温が続き、なかなか芽が出てきません。5月19日に土を掘ってみると5〜7ミリ程度発芽しており、このまま落水を続ければ苗立ちは大丈夫と見ておりました。 その後26日にほ場を見に行ったときには、もうすでに入水してしまっていました。もう少し芽が出るまで落水を続けるように営業所の方に連絡を取ってもらったのですが、除草剤も散布してしまったとのことで、落水はしなかったようでした。5月30日に再度ほ場を見に行ったときには、まばらにしか出芽しておりません。
 このままでは、収量がおぼつかないと思われたので、急いで苗を移植するように提言。現在は坪45株植の疎植栽培で順調に生育しています。
 播種時にAさんに会ったときに、早めに入水して除草剤を散布しないと雑草防除が難しくなることを私が話していましたので、それで早めに入水したようでした。出芽状況を見ながら入水するようにお話ししておくべきでした。反省しています。

2、湛水直播その2:無カルパー播種でも予想外の好結果
  担当農家のBさんは、昨年はV溝直播に挑戦した方です。極早生品種を用いて7俵程度は収量があったのですが、キヒゲンR2フロアブルの種子消毒やその後の乾燥作業が面倒だということでV溝直播を断念しました。Bさんからは、前々から考えていたカルパーコーテング無しの湛水直播栽培に挑戦したいと持ちかけられました。
湛水直播では種子にカルパー(酸素発生剤)をコーテングすることが常識になっています。無カルバー種子では苗立ちが悪いから責任は持てないと一旦はことわりましたが、本人の希望が強く、行うことにしました。


写真2 6月19日
イネより雑草が圧倒的に多い

写真3 7月19日の生育

播種は、5月6日で、浅水状態で播種。播種後は落水してもらいました。その後、しばしばほ場を見に行ったのですが、5月の末になってもごく僅かにしか出芽しておらず、ヒエなどの雑草だけがあちこちに出てきておりました。このままでは大変なことになるので、何処かから苗を見つけてきて移植しなおすよう話しましたが、ご本人はこのまま続けるといいます。
 6月19日に見に行ったときには、一面草だらけで探しても探してもなかなか稲苗を見つけることができません。一見して絶望的でした。それでもBさんは落水と入水を繰り返してきたと言います。
その後Bさんは、6月26日に除草剤のクリンチャーバスを散布。7月19日に連絡があり見に行ったところ、ほ場一面にあった雑草がきれいになくなり、分けつした稲が条状にはっきりと見えるではありませんか。これにはびっくりしました。雑草で稲苗を見つけることが難しかったとはいえ、こんなにも多く苗立ちしているとは予想もつきませんでした。また、雑草防除も、雑草の葉齢が進んだ時期に散布しており、これほどまでにきれいに防除できるとは思いもつきませんでした。
 このようにカルパー無しでも予想以上の苗立となりましたが、播種機の設定(播種深度、播種量、覆土板の角度)、播種時の圃場状態(ほ場の硬さ)等をもう少し工夫するとカルパー無しでも播種が可能と思われる事例でした。

3、湛水直播その3:落水時の大きなひび割れは鳥害の原因?
 
当支社で行っている湛水直播機は、側条施肥機付のPGV63DTFですが、担当農家のCさんからクレームがつきました。出芽は順調でしたが、落水期間中、播種溝に亀裂ができやすく、そのままにしていると籾が丸見えとなり、そこを狙ってカモや雀が来てついばむから何とかならないかという。確かに播種溝に沿って亀裂が走っているところが多く、亀裂が深いところでは籾が見えています。亀裂ができないように時々走水をするように話をしましたが・・。この原因は、私たちの播種法(浅水播種、覆土板の無作動)や側条施肥機付播種機では播種床の沈下が大きくなる事等が考えられますが、確定的ではありません。今後の検討が必要です。

4、V溝直播その1:ほ場が過乾燥、土煙が舞う
 担当農家のDさんは、支社ジャパンクラブでV溝直播を紹介したことが契機となって、初挑戦しました。昨年の11月に雨水をため込んで55アールのほ場を代かきして、5月1日播種しました。
 ほ場は4月の記録的な少雨でカラカラに乾き、がちんがちんに硬くなっていました。テスト走行してみたら、溝がうまくできません。過乾燥のため土の上面がもろくなり、播種溝の重さですぐに崩れてしまうのです。従って種子や肥料が表面播に近い状態になり、深さ5pに播種・施肥することができません。周りにはV溝直播を見ようとして付近の農家や普及員の方が見守っています。少し焦りました。代かきしていれば溝切りは上手くいくはずでした。


写真4 PTO1での溝切り

写真5 PTO2での溝切り
 そこで、昨年の経験が役に立ちました。PTOの回転を1から2に上げ、走行スピードも速めました。そうしたら溝が崩れることもなく、種子・肥料も大半が溝の中に落ちています。これで何とか面目を保つことができました。代かきをしていても過乾燥は問題で、適度な湿り気が必要であることがわかりました。
 稲の方は、苗立ちは順調で、その後の生育も問題がありませんでしたが(写真9参照)、走行スピードを速めたためと思うのですが、肥料の投入量が少なくなってしまいました。このような場合は施肥目盛りを規定よりも上げた方が良さそうです。

5、X溝直播その2:クローラでほ場鎮圧
 V溝直播では、ほ場の鎮圧均平化が大前提です。ほ場に適度な硬さがなければ播種溝を作ることができないからです。この機械を開発した愛知県農業総合試験場の手引きでは秋冬期に代かきをすることが前提になっています。ところが、用水の問題から秋冬期に代かきできるところは限られます。前記のDさんは雨水を貯めて代かきをしましたが、このほ場の持ち主のEさんは、クローラ型のトラクターを持っており、クローラで鎮圧することにしました。

写真6 クローラ鎮圧
テスト走行してみたら上手く溝が切れません。クローラで凸に鎮圧されていたほ場は、播種機の重さで表面がすぐに崩れ、それが播種溝を埋めてしまい、種子や肥料が表面播の状態になります。Dさん同様にTPOの回転を上げ、走行速度も速めてみましたが、余り改善されません。そこで、実演チーム長が、播種機がより深く地面に接地するようにトップリンクを調整したところ、まずまずの溝切りができて、ほぼ満足のいく結果となりました。ここのほ場も普及員や付近の農家が多数集まった中での実演だっただけに、ホットしたところでした。
6、V溝直播その3:V溝ならぬU溝直播
 このほ場は、昨年から取り組み今年で2年目です。ここも無代かき栽培です。耕起した後にバーチカルハローで砕土しただけのほ場です。昨年の場合は土壌に適度の湿り気があったために、PTOの回転を速めたところ溝切りが良くいきましたが、今年の場合はDさんの場合同様過乾燥で、ほ場がカラカラに乾きしかも砕土率も高いために土が砂のようにサラサラの状態でした。そのためV型の溝はほとんどできず、一見すると広いU型の溝となってしまいました。もちろん種子も肥料も表面播に近い状態です。播種機を調整してもどうにもなりません。V溝ならぬU溝直播となってしまいました。
 一見失敗したように見えますが、これがそうでもなかったのです。種子が表面播に近いため苗立ちが早くなりました。そして入水してみるとこのU型の溝が自然に埋まり種子は1〜2p深さになっています。播種深度5pのV溝ほどではありませんが、このU型の溝でもある程度の播種深度を確保できることがわかりました。
 このU溝直播の弱点は、入水前迄は表面播と同じであるために鳥害が心配されます。幸いにしてここは雀の被害はほとんどなかったので良かったのですが、家屋が近いほ場では問題となるでしょう(忌避剤のキヒゲンR2フロアブルを使用していますが、最初のうちは鳥害がなくても、最終的には食べられることが多いからです)。

写真7 過乾燥で土煙が舞う

写真8 溝切りがU型状態
以上、今年の湛水直播、V溝直播のあれこれについて述べましたが、各地からもいろいろ情報を出してもらえれば、ありがたく思います。

写真9 V溝直播の生育状況(7月28日)
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